PICK UP ACTRESS 遠藤新菜

PICK UP ACTRESS 遠藤新菜

PHOTO=松下茜 INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

映画「シスターフッド」で女子大生役
ドキュメントと演技の両方に携わる

 
 

――人間の多様性を肯定する映画「シスターフッド」は西原孝至監督が4年かけて撮ったそうで、遠藤さんの出演場面も途中で髪色が変わってました。

「最初に撮った(LGBTの)パレードのシーンとかが1年前で、それから半年空いて、また撮った記憶があります」。

――フェミニズムをテーマに撮り始めたドキュメンタリーとフィクションの劇映画が混在した作品ですが、遠藤さんがカフェで実際に友人のSUMIREさんと会話するシーンは、台本がなかったとか。

「監督から『こういう話をしてほしい』という内容はあったんですけど、2人でほとんど打ち合わせもせず、話し出しました。私が演じた美帆はずっと1人でフツフツ考えている感じの子で、SUMIREちゃんもボソボソしゃべるので、2人でボソボソ、ボソボソ話しました(笑)」。


――あのシーンで美帆は“女でいることの責任感やプレッシャー”について、「何かあるんだよね……」と言い淀んでました。

「私自身は気が強いほうで男っぽいところがあるので、『女性らしさって何だろう?』とよく思います。男性だってメソメソしてもいいはずだし、『女性は絶対に家事ができなきゃいけない』と言われたら、ある程度できたほうがいいにしても、ちょっと違和感を覚えます」。

――そういった遠藤さん自身の想いが出た言葉だったのかもしれませんね。

「私自身がフェミニストなわけではないですけど、女性が『生き辛い』と声を上げているのを聞いたり、海外の女優さんの問題をメディアで目にしていたので、この作品をきっかけに知ってみようと思った感じです。私の考えとしては、女性が尊重されるのは当たり前。特別に女性をどうしてほしいという意識はありません。でも、映画に大学で講義を受けるシーンがあって、皆さんのリアルな話し合いに私も参加して、トランスジェンダーの方がいたり、『男性はこういう考え方をするんだ』と知ったりしたので、いい経験になりました」。

――劇中で映画監督の取材を受けて、「女性が目立った発言をすると『女性なのに』と言われる」と話すシーンもありました。

「あれは台詞ですけど、私もこの仕事をしていて、何となく『女優はこういう振る舞いをしなきゃいけない』と言われたことはあります。『タバコを吸ったらダメ』とか……。私はオープンにしてますけど、男性がタバコを吸うと『カッコイイ』と言われるのに、女性が吸うと『下品』みたいに見られることに、『性別は関係なくない?』と思ったりはしますね」。

――美帆は女子大生ということですが、人物像は考えましたか?

「西原監督からは性格とかより、どんなことに興味があるか、どんな生き方をしてきて、どういうふうに友だちと接しているか……みたいな部分を、わりと細かく言っていただきました。私は大学に行ったことがないので、街で『こういう女の子がいるのかな?』と想像して探して、見たりはしました」。


――演じるポイントは見つかりました?

「さっきも言ったように1人でずっと考えている子なので、不器用だけど頭の中は常に沸騰しているところが見えたらいいなと思いました。みんなで集まって、楽しくしゃべるような子ではなさそうだし、特に金髪になってからは、学校で浮いていたと思うんです。顔だちも外国人っぽいし(笑)。髪はたまたま別の撮影で色を変えたんですけど、監督は『そのままでいいよ』と言ってくださいました。ある意味、そこはドキュメンタリーなんです。私自身の変化でもあり、同時に役の美帆も気持ちが変わり始めたところで金髪にシフトしたので、良い作用になった気がします」。

――彼氏と別れるシーンのあとで、髪が変わってましたからね。あそこも、どんなつき合い方をしていたとか、想像したんですか?

「しました。わりと長くつき合っていた設定は監督と決めて、『自分の気持ちがフェミニズムとか女性の問題に集中してきたら、一番近くにいた彼に興味がなくなってしまった……』という感じで、あそこは作っています。嫌いになったわけではなく、無になった別れ方ですけど、女性差別的な部分で彼氏に対して感じることも、たくさんあったように思います」。

――美帆は「私、髪切ってないんだけど。何見てたの?」とも言ってました。

「その感情は女性的ですよね。『全然私を見てないんだね』と、完全に気持ちが離れているのがわかったという感じです」。

――遠藤さんはツイッターで「恋愛相談されることがビビるくらい多い」とつぶやいていたことがありました。もし美帆から相談されたら、何と言いますか?

「たぶん『別れて自分の好きなことをすれば?』と言ってますね。もう明らかに愛がなくなっていて、2人が並んで歩いている画もすごく寂しげで、どちらも『どこが好きなの?』みたいな感じじゃないですか(笑)」。


 
 

思ったことは全部隠さず発信して
あとから自分で聞くと笑います(笑)

 
 

――遠藤さんがそんなによく恋愛相談を受けるのは、どうしてなんでしょう?

「何でかわかりませんけど、すっごい多いんですよ。『私でいいのかな?』と思います。話を聞いてほしくて恋愛相談をする女性が多くて、それはいいんですけど、『人に話す責任を持とうね』というのもあるので、私は『別れたほうがいいのは自分でわかるでしょう?』とハッキリ言うだけなんです」。

――逆に、そう言ってほしくて、遠藤さんに相談するのかも。ところで、遠藤さんは最近、JP THE WAVYさんの「Just A Lil Bit」のMV監督を務めました。いつか映画も自分で撮りたい気持ちはありますか?

「もちろん考えたりはしますけど、ミュージックビデオとはまた違って、映画をひとつ作るのは大変ですよね。作るまではできたとしても、そこからどうやって世の中に発信するか。配給をどうするか。監督の方々がヒーヒー言っているのを見ていると(笑)、『私にできるかな?』って気持ちになります。でも、いつかは関わりたいです。全部ではなく、共同とかでもいいので」。


――自分で好きなのはどんな系統の映画ですか?

「SFです。『スター・ウォーズ』も『スタートレック』も大好き。あとは『トロン』も好きです。でも、『ワイルド・スピード』や『メン・イン・ブラック』みたいな、思いっ切りコメディなアクションやバカになれる映画も好きなんです(笑)。最近だと、面白かったのは『タイタン』。そういう宇宙に関連した映画を観るのが一番好きです」。

――でも、SF映画を自分が撮るとなると……。

「ものすごく予算がかかりますよね(笑)。作れるようになったらいいですけど、まずは自分が出ることかな。海外のSF映画に出たいです」。

――遠藤さんは他にも絵や写真が特技だったり、オシャレでクリエイティブなイメージがありますが、日常生活が想像しにくい感じもします。

「へーっ。そうなんですか?」。


――ダラーッとしていることもあるんですか?

「全然あります。毎日ほとんどそうです。でも、洗濯するのがすごく好きで、1日3回くらい洗濯機を回してます(笑)。何か洗えるものがないか探して、ベッドのスーツをはがして洗ったりします」。

――じゃあ、部屋もきれいなんでしょうね。

「そうですね。ずーっと掃除機をかけてます(笑)。そういうことはできるだけ7時くらいまでに全部終わらせて、ごはんを作ってお風呂に入って、8時に家を出たら、そこからは夜な夜な、Netflixで朝までずっと映画を観たりしています(笑)」。

――あと、たまにツイッターでシリアスなことをつぶやきますよね。

「何でしたっけ? 良くも悪くも、その時々に思ったことは全部隠さず発信してますけど、あまり覚えてません」。

――「また眠れないけど、自律神経の乱れに慣れて焦りません」とつぶやいてました。

「ずーっと不眠症でした。4年くらい前、20歳になりたての頃が一番眠れない日が続きました。すごく悩みましたけど、友人に勧めてもらった漢方を飲んで、お風呂で暖まって寝る……みたいな単純なことで解決しました。今はむしろ、何時間でも全然寝られます(笑)。ツイートはあとから自分で笑っちゃうことが多いです」。


――この春に、何かしようと思っていることはありますか?

「LAとタイに旅行に行く予定です。私、ルーツはアイルランドなのに、意外とアジアから出たことがないんです(笑)。中国や台湾にはよく行ってますけど、LAとかはなかったので、行ってみようかなと思ってます」。

 
 


 
 

遠藤新菜(えんどう・にいな)

生年月日:1994年10月3日(24歳)
出身地:東京都
血液型:O型
 
 
【CHECK IT】
2013年に「海にしずめる」で映画初出演にして主演デビュー。2014年から2017年まで「non-no」(集英社)で専属モデルを務める。主な出演作は、映画「Starting Over」、「やるっきゃ騎士」、「無伴奏」、「ママレード・ボーイ」、「Tourism」、ドラマ「受験のシンデレラ」(NHK BSプレミアム)など。映画「シスターフッド」はアップリンク渋谷にて公開中。後に全国順次公開。
詳しい情報は公式HPへ
 
 

「シスターフッド」

監督・脚本・編集/西原孝至 
製作・配給/sky-key factory
詳しい情報は「シスターフッド」公式HPへ
 

©2019 sky-key factory
 
 

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