FRESH ACTRESS 栗林藍希
PHOTO=松下茜 INTERVIEW=斉藤貴志
衣装協力:ニブンノイチ原宿店
「新潟美少女図鑑」で注目された17歳
映画「シスターフッド」で等身大のモデル役
――「新潟美少女図鑑」に載って注目された藍希さんですが、今も新潟在住なんですか?
「今は東京に住んでいて、たまに新潟に帰ってます」。
――この時期には雪かきとか、よくしてました?
「昔はめっちゃしていました! 学校にも雪かきをしてから行っていたのですが、新潟も年々雪が降らなくなってきました。12月に帰ったときも一切降ってなくて、気温も東京と変わりませんでした」。
――出演した映画「シスターフッド」が公開されますが、もともと女優になりたかったんですか?
「もともとはモデルになりたいと思っていました。でも、地元にいたときにいろいろな出来事があって、『私は女優さんになりたいんだ』と気づきました。ちょうど事務所に入るタイミングで、マネージャーさんにそう言いました」。
――「いろいろな出来事」というのは、たとえばどんなことですか?
「良いことと悪いことが両方あって、『こんなんじゃモデルになれない』と言われたことでは、すごく悩んでいました。でも、事務所に入る前にWebCMのお仕事をしたとき、監督に『あなたはモデルではもったいない。絶対に動いたほうがいいから、女優さんになって』と言われたことが背中を押してくれました。あと、映画の『渇き。』が大好きなんです。もともと小松菜奈さんに憧れていたんですけど、それもあって、『やっぱり私は女優さんを目指そう』と思いました」。
――「渇き。」のようなへヴィな映画が好みなんですか?
「そうですね。『怒り』とかも好きです。『渇き。』は15歳になった瞬間に観て、最近2年ぶりにまた観ました。同じ映画を2回観たのは初めてで、当時と違う見方ができたので、熱が高まりました。でも、小泉今日子さんと二階堂ふみさんが出演している『ふきげんな過去』という平凡な日常の映画も好きですし、『たまたま』という蒼井優さんが海外で旅をするミュージックビデオみたいな作品も大好き。『シスターフッド』もですけど、変わった映画が好みです」。
――「シスターフッド」はドキュメンタリーと劇映画が混在していて、藍希さんは新人モデルの梓役ですが、自分のパートは台詞があったんですか?
「そうですね。実際にモデルさんが言いそうな台詞でした」。
――「カメラの前に立つと違う自分になれる」とか。
「それは私も地元でモデルをしていた頃には、すごく感じてました。でも女優を始めてからは、そういうふうに思わなくなりました。女優としてカメラの前に立つときは、最初から違う自分になっていることが多いので、そこはモデルさんと感覚が違うかなと思います」。
――梓が「あまり自分のことが好きじゃない」と言っていたのは、藍希さんには当てはまりませんよね?
「当てはまります(笑)。昔から結構ネガティブだし、正統派の顔ではないので」。
――個性派のほうだと?
「そうなんです。学校でも良い立場ではなくて、結構苦労しました。いじめまではいかなくても、『モデルをやっているのにかわいくない』とか、散々言われましたから」。
――面と向かって?
「はい。なので、常に自分に自信がない状態で生きてきました。でも女優を始めてからは、自信があるかないかの問題ではなく、自分ではない自分になって仕事をするわけだか
ら、別に気にしなくなりました。ネガティブなことが大事だとも、最近気づきました」
――と言うと?
「常にポジティブだったら、自分の悪いところが全然わからない。ネガティブでちゃんと悪いところがわかっているから、次のステップに行ける。そんな感じです」。
――女優を始めてから、本当に考え方が変わったんですね。
「前は『この人に負けたくないから、私は絶対女優として頑張ろう!』とか、そういうふうに考えていたんですけど、今は違うかもしれません。ちゃんと役者という仕事に向き合って、台本をもらうと役を好きになれて、人間のことも好きになれました。だから、この1~2年で確かに変わったと思います」。
毎月目標を立てるようにしていて
3年後や5年後のことも考えます
――今回の「シスターフッド」では梓の役をもらって、どんな取り組みをしたんですか?
「急に出演が決まったんですね。それに役といっても自分のままに近い感じだったので、特に準備はしませんでした。本当に急だったので早く台詞を覚えて、あとは現場でやろうと思って行きました」。
――「急に」というのは、撮影のどれくらい前だったんでしょう?
「1週間くらい前かな? 普通に渋谷で声を掛けられたんですよ。地元に帰ろうと、寝起きの姿でリュックを担いでカバンを持った大荷物で歩いていたら、男の人が近寄ってきたので、最初は美容師さんかと思って無視しました(笑)」。
――「カットモデルになってください」的な?
「そう思ったんですけど、しつこいから話を聞いたら、『ドキュメンタリーを撮っている』と言ったんです。私はもともとドキュメンタリーが嫌いではないし、面白そうな話だったので、事務所とマネージャーさんの連絡先を教えて、新潟に帰りました」。
――じゃあ、そのしつこかった男の人が……。
「監督でした(笑)」。
――すごい偶然だったんですね。現場では今までの出演作と違う空気はありました?
「全然違いました。ガチガチに役を演じるというより、普通にただ私がいて台詞を言ってる……みたいな感覚でした」。
――仕事を辞めてカナダに向かう事務所の先輩のユカ(秋月三佳)を見送りに空港に行ったシーンでは、使い捨てカメラで写真を撮っていましたが、藍希さんも写真が趣味なんですよね?
「普段からフィルムカメラでよく撮ってます。あのシーンは一応設定があって、カメラをカバンから出したんですけど、会話は完全に秋月さんと私で話す空気でしたね」。
――写真のことだと、「音流~ONRYU~」でゲストのあっこゴリラさんをMC陣で撮ったとき、藍希さんの写真が一番いいとされてました。
「あのときはいい感じで撮れました。今、たまに『新潟美少女図鑑』でカメラマンをしています」。
――エッ? 撮るほうをやってるんですか?
「そうなんです。だから、新潟に結構帰ってるんです。カメラマンとしてお願いされたら、撮りたいなと思ってます」。
――劇中ではユカのことを「師匠感があります」と言ってました。藍希さんにも師匠的な人はいますか?
「います。事務所の先輩のUNAさんというカッコイイお姉さんがいて、今、27歳かな? 結構年上で、人生のためになる話をたくさんしてくれます。どうしたらスタッフさんとの関係がうまく行くかとか教えてくれて、それで自分が変わったところもあります」。
――どんな教えを受けたんですか?
「私はもともと大人が嫌いだったんですよ(笑)。でも、“大人”ってひと括りにするのはおかしいと、気づかせてくれました。親以外の大人は怖いと思ってましたけど、事務所のスタッフさんや私の周りの大人は全然そんなことなくて、みんないい人でした」。
――梓がユカに言われた「セルフリスペクト」は、藍希さんは持っていますか?
「どうだろう? でも、他の同い年の人たちより、ちゃんと先を見ている気はします。上京して1年半くらい経って、辛い経験もたくさんしたし、社会をいち早く見てきたので、自分の将来のことは常にめちゃくちゃ考えています」。
――それは17歳くらいでは、なかなかできないことかと思います。
「子どものままでいるのも、それはそれでいいと思いますけど、私は毎月、目標を立てるようにしています。自分の良いところ、悪いところ、今月の振り返り、来月の取り組み、目標……とか全部書き出して、1年後、3年後、5年後の自分の姿も考えてみるようにしています」。
――いわゆる短期、中期、長期の各スパンで考えるんですね。
「月でいうと、自分の演技が舞台をやってから動きを決めがちになっていたことに気づいて、“心のままに演じる”というのを目標にしたら、達成できました。ドラマに出ることを1年の目標にしましたが、それも実現できました。今年の目標は、主役をやることです」。
――一方で、17歳の女子高生の日々の青春は、どんなふうに楽しんでますか?
「エーッ? 青春ゼロの生活です(笑)。ただ、上京してから友だちが一切できなかったのが、最近東京のモデルさんたちと仲良くなって、どんどん交友関係が広がって、ほぼ毎日、その友だちと会ってます」。
――モデル友だちだと、派手に遊ぶ感じですか?
「私は静かにひっそりとしてますけど(笑)、友だちができると、こんなに生活が変わるのかと思います。友だちがいない頃は夜ごはんを1人で食べていたので、一緒に食べられることは大きくて、うれしいです。それが今の一番の青春……ですかね?」。
栗林藍希(くりばやし・あいの)
生年月日:2001年4月22日(17歳)
出身地:新潟県
【CHECK IT】
2016年に「新潟美少女図鑑」に掲載されて注目を集めて、地元でモデル活動を開始。2017年に映画「緑色音楽」、2018年にドラマ「ふたりモノローグ」、映画「左様なら」に出演。音楽番組「音流~ONRYU~」(テレビ東京/金曜27:15~)にレギュラーMCで出演中。映画「シスターフッド」は3月1日(金)よりアップリンク渋谷ほか全国順次公開。
詳しい情報は公式HPへ
「シスターフッド」
監督・脚本・編集/西原孝至
製作・配給/sky-key factory
詳しい情報は「シスターフッド」公式HPへ
©2019 sky-key factory